女の人の根源的な強さが、ほとんど前提のように書かれています。
主人公は大抵中年か中年にさしかかった女性(年増というべきか)で、
山あり谷ありの人生を送り、なお、進行形のトラブルを抱える身。
しかし、心細さを覚えながらも、決してそれを口にしない矜恃、
むしろ背筋を伸ばして虚勢をはるような、そんな潔さを見せます。
そこに私のような者は憧れというか、やっかみ半分で惹かれるんですね。
先日読んだのは「或る女」という短編でした。
上流階級の中年夫婦が、さることをきっかけにしっくりいかなくなる話。
主人公のたか子がまた情の強い人で、原因はあきらかに彼女にあって、
自業自得もいいところなんですが、どこまでも意地をはる。それこそ泣きながら。
そして夫の言葉に不安を覚え、必死にすがりつきつつも、頭は冷めて先を見る。
彼女が見せるアンビバレントなしたたかさに、ふと笑ってしまいました。
いっそ清々しい。
最近はよく青空文庫を利用します。近代ものはほとんどそう。
心情としては紙の本が好きなのですが、この気軽さにはあらがえない。
買うのが面倒、借りるのが面倒、探すのが(略) とかいって読まないよりは、
どんな形だろうが読んだ方がいい、読まれた方がいいと思います。
弊害として?古いものばかり読むようになりますが…。
0 件のコメント:
コメントを投稿